Ronnie Fieg's Journal - Kith for BMW - 1602 Munich
2年ぶりに、BMWとのパートナーシップを復活させることができたことを誇りに思います。第2章に取り組むにあたり、ブランドの歴史を掘り下げ、私達のパートナーシップの進化に沿う様なストーリーを模索することが重要でした。2022年は、先駆的なBMWによる電気自動車の導入から50周年にあたる年で、ブランドの歴史の中で最も重要なマイルストーンの1つです。
1970年代は、自動車業界の技術者が様々な手法で技術の進歩を模索していた時代でした。当時世界は厳しい局面を迎えており、技術者達は未来の移動手段に向けて新たな選択肢を開発することに意欲を燃やしていました。
BMW初の電気自動車の開発が始まったのは、1971年。ブランドの故郷であるミュンヘンを舞台にした1972年のオリンピックに向けた導入が計画されていました。この新しいコンセプトをデビューさせるためのモデルとして選ばれたのが、2ドアのメタル・クラス、1602でした。彼らは1602からエンジンを取り除き、バッテリーパックに置き換えました。当時は、複数のバッテリーパックを搭載し、エネルギーが無くなったら車内で交換できるようにする方法が考えられていました。このバッテリーの導入によって、最大航続距離60km、最高速度70km/h 100km/hが実現。これらのアップデートに合わせてトンネルの幅を広げ、タコメーターをバッテリーの残量を表示するメーターに変更するなど、車内の仕様も新たにデザインされました。1602は、オリンピックのカラーとデザインに合わせたオレンジ色に仕上げています。またサイドには五輪マークと、"Elektro-Antrieb"すなわち "Electric Drive"の文字が描かれています。マラソン競技でランナーに随伴したり、カメラ車やアスリート用のタクシーとしても活躍しました。
このモデルは一般に生産されることはありませんでしたが、電気自動車のコンセプトを証明したことで、BMWにとって大きな節目となりました。その後、多くの電動のコンセプトカー、そして最終的には市販車が登場し、BMWはこの分野で革新を続けています。全ては、初代1602があって成し得たことです。