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Kith Honors Black History Month

 

2023年のBlack History Monthに敬意を表し、今回のアーティスト・シリーズでは、絵を描く事でメッセージを伝え続けている黒人のクリエイターを3名ご紹介いたします。ニューヨーク州ブルックリンのMadjeen Isaacと、西アフリカのガーナにあるNoldor Residency所属の、Samuel OlayomboとFoster Sakyiamahです。ブランドとしては初めて、海外のアーティストにもスポットライトを当てています。

これらのアーティストは、Kithのシニア・スペシャル・プロジェクト・マネージャーであるMarlon Beck IIと、CEO兼クリエイティブ・ディレクターのRonnie Fiegによって選定されました。

これらのアーティストと共に、彼らのアートワークをTシャツやクルーネックにプリントしたカプセル・コレクションを制作し、Monday Program™に代わって2/1(水)に発売いたします。アーティスト達はそれぞれのデザインによる収益の50%を受け取る他、2/1(水)の発売日にはKith SoHoの旗艦店で開催されるスペシャルギャラリーにて、彼らの作品が展示されます。このギャラリーは、今月末にKith Parisの旗艦店にも巡回いたします。

発売に先立ち、Madjeen Isaac、Samuel OlayomboそしてFoster SakyiamahはMarlon Beck IIと対談し、黒人クリエイターとしての責務の重要性について議論しながら、それぞれの考え方やこれまでの道のりについて話しました。対談の全文は、以下をご覧ください。

 

Marlon Beck II(以下MB):第3弾となるBlack History Month クリエイティブ・シリーズの一環として、皆さんとコラボレーションできることを嬉しく思います。

Madjeen Isaac(以下MI):この度はお声掛けいただき、また皆さんとの会話の場も設けていただきありがとうございます。私はブルックリンのフラットブッシュで生まれ育ったアーティストで、自分の想像力の領域から、自分の住む地域や愛する人達を表現する事が大好きです。ただただここに来られて幸せです。

Samuel Olayombo(以下SO):私はナイジェリア出身のアーティストです。ナイジェリアのベニン大学で、純粋美術と応用美術を学びました。油絵、アクリル絵の具、木炭、パステルの質感が好きでよく使用し、大きなスケールのキャンバスで主に男性、または性別にとらわれない鮮やかでドラマチックな肖像画を制作しています。

Foster Sakyiamah(以下FS):私の芸術の旅は子供の頃から始まりました。幼少期、父は職人であり、溶接工であり、スプレー工でもあったので、いつもスケッチをしていました。私は父から多くのことを学びました。後に、Ghanatta College Of Art & Designに入学し、Ablade Gloverのようなガーナのモダニスト画家について学び、当時Emmanuel Takuも同級生でした。その後、アクラの地方都市でSakyiamah Artと名付けた売店を開き、11年間路上でアートを販売することを主としていました。この期間、まだ結婚はしていませんでしたが、今の妻が私のミューズとしてときたまポーズをとってくれました。2021年8月まで時は流れて、Noldor Artist Residencyの選考委員を代表して彼がスタジオを訪れた際、私は初めてJoseph Awuah-Darkoに会いました。そこから私のキャリアは一気に加速し、Noldor Artist Residencyでの客員期間を獲得する事ができました。

MB:Madjeen、あなたはハイチ系アメリカ人の一世であり、あなたの作品の多くはここニューヨークでの生い立ちに結びついたものです。スタジオでの最初の会話で、あなたの作品は家族の思い出や、あなたが育った文化からインスピレーションを受け、それが今日のあなたを形成するのに役立っていると話していましたね。この事は、あなたの制作プロセスにどのような影響を与えていますか?

MI:2017年の夏に家族で行ったハイチ旅行をきっかけに、作品づくりを始めました。ハイチには幼少期からよく旅行していたのですが、その夏私はそれまでよりぐっと成長しており、本当の意味でその風景を観察するに至ったのです。ハイチのポルトープランスがブルックリンのフラットブッシュに似ている事に驚かされました。商人や通勤客で賑わい、その喧騒は魅惑的でありながら、親しみも感じる体験でした。ブルックリンのカリブ系移民は、市場、レストラン、ベーカリー、公共交通機関、教会などのコミュニティや家族経営を発展させ、現在の故郷に定住し定着したのだと、考えさせられました。

私の絵画のほとんどは、私が再構築した環境に住み、関わっている私のコミュニティや愛する人達を題材にしています。私はブルックリン、ハイチ、そして架空の風景から要素を得て、私達がどのように空間を占有するか、また私が生まれ育った中で常に触れてきたカリブ文化のるつぼにも、敬意を表しています。

子供の頃大好きだった内の1つが、両親の写真箱を見る事でした。ハイチでの両親の写真、初めてアメリカに来た両親の写真、私たち兄弟の写真、1990年代から2000年代にかけての大家族との祝い事やありのままを写した瞬間の写真等がありました。何百枚もの写真を探し出す興奮と古いフィルムの匂いもさることながら、私はノスタルジーを感じ、両親の目を通して世界を見る事をとても楽しんでいました。両親は新しい世界を歩む一方、控えめで目立たない写真家でした。

2017年のハイチ旅行では、今でも私が参考にするような写真をたくさん撮りました。最近は、自宅の近所や毎日の通勤時に写真を撮っています。戦前の建築、通行人、街並み、夕日や緑などを切り取るのが好きです。パンデミックの間にはフィルムカメラを購入し、毎年家族で行くキャンプや友人との外出の際に持っていく事にしています。

絵を描くにしても、写真を撮るにしても、後の世代の人々に振り返られるようなビジュアルアーカイブを構築しているような気がするのです。

 

MB:5人姉妹と共に育ったというSamuel、あなたは最近、自身の作品がセクシュアリティ、性別による役割、男女平等といったカルチャーや構成概念に焦点を当てたものであると述べました。あなたの生い立ちは、作品にどの様な影響を与えましたか?

SO:私は幼少期に多くの「不公平」を目の当たりにしてきたため、一見「野蛮」に見える男性的な被写体を、ローズやパステルピンクといった従来「女性」の色とされてきた色を使って表現しています。私は、性別に関係なく、全ての人が平等だと信じています。

MB:ガーナで育ったFoster、あなたは最近Noldor Residencyの新進アーティストになられましたね。この事は、あなたの作品やアートに対する考え方にどのような恩恵をもたらしましたか?

FS:Noldorでの旅は、グローバルな文脈の中で自分の活動について考える力を与えてくれました。在籍後すぐに、ニューヨーク、ロンドン、マドリッド、香港の素晴らしい施設やギャラリーで、大規模な個展やグループ展を多数開催し、リトアニア国立美術館でも展示を行いました。自分の人生がこれ程までに変化した事に驚かされ続けていますし、本当に素晴らしい事です。

MB:あなたの作品を初めて見た時、曲線のパターンに加えて、色の鮮やかさに注目せずにはいられませんでした。どのような影響を受けて、それらの特徴を強調するに至ったのですか?

FS:私の喚情的なモノクローム絵画は、レース模様の手袋、控えめなスカーフ、サングラスや帽子といった女性の装飾品によるモチーフが多く使われています。これらのアクセサリーは全て、私の女性への賛美を反映しており、私が描く被写体のために創造したこの世界におけるレジャーと耽溺のシンボルとして機能するものです。私はまた、私の人生に登場する女性達、特に裁縫婦として女系家族を率い、アクセサリーを着けて主要なクライアントを担当した母から限りないインスピレーションを得ています。私がコバルトブルー、青々としたグリーン、明るいマゼンタのカラーパレットを使うのは、Kwame Nkrumah博士が1966年に立ち上げたガーナ初の国産テキスタイルブランドであるGTPを参考にしたためです。テキスタイルへの執着が強まった結果、私の作品に見られる同心円状のパターンの波が生まれ、色によって意味と深みが増したのです。私は、この様な身近にあるウェアラブルなアイテムを、親しみやすい方法で作品に反映させる事を楽しんでいます。

 

MB:あなたの作品に最も多く見られるテクニックやテーマは何ですか?また創作を始めてからどの様に、大きな役割を担ってきましたか?

MI:私は常に写真とストーリーテリングから影響を受けています。また、絵画を実現するための技法として、コラージュを活用するのも好きです。

創作を始めてから、私の興味は徐々に進化しています。土地の管理について、そして黒人やカリブの人々が土地とどの様な関係を築いているかについて考えています。農業の実践であれ、小さなスペースの手入れであれ、コミュニティや安全な空間を発展させるための自治権であれ。現在私がインスピレーションを受けているのは、コミュニティガーデン、農場、公園、市場、屋外スポーツコート、フィールド、店先教会などです。それらは、心、体、精神に恩恵を与えてくれる空間です。

SO:私が全ての作品で命を吹き込んでいるスカーリングカルチャーには、パレットナイフを使用しています。それは私の作品の中で最も顕著なテクニックで、アーティストとして独自のビジュアルランゲージを発展させる事に役立っています。

FS:私は物心ついたときから、アクリル絵の具を好んで使ってきました。その理由の1つは、Ghanatta College of Art & Designでの学歴と、その素材に対する自信を深めた事に根ざしています。
アクリルの粘性とその性質は、私の作品に精密なレイヤリングを与えてくれ、作品の仕上がりにおいてアーティストがディテールと正確さをコントロールする事を可能にします。私はこのアプローチを最も楽しんでいます。

 

MB:皆さんの作品を見る方々に、作品からどの様なメッセージを受け取ってほしいですか?

MI:私は、鑑賞者が自分自身にまつわる何かを持って帰ってくれる事を望みます。時には、故郷や青春時代を思い出したり、自分の住む地域の未来がどうあるべきかを考えるきっかけになったりします。私は、現実の制約を超えて、自分の安全な空間がどの様なものであってほしいか再定義し、分析し、問いかけながら、アイデアを練っています。

SO:黒人のソフトな「女性」色を目にする事に慣れるだけでなく、どの黒人の「ハードさ」の裏にも、優しくてソフトな面があることを理解してもらいたいですね。

FS:私の作品の中心テーマは、エンパワーメント、女性らしさ、アフロポリタンの豪華さ、黒人の喜びで、これらは、グローバル化の時代にアフリカ人である事の意味を高め、新たなビジョンを祝う事を目指す私の活動の中に深く存在しています。私はこれを「力を与える物の擬物化」と表現していますが、私の作品を見る人がこの様に感じてくれると信じています。

MB:このプロジェクトであなた方とパートナーシップを結ぶ事ができ、本当に嬉しく思っています。これは、私達のプラットフォームを他者に提供する事を目的とした取り組みですが、より重要なのは、表現がいかに重要であるかを示す事です。黒人のアーティストである事は、あなた方にとってどの様な意味を持つのでしょうか?また、苦労された事はありますか?

MI:私にとって、アートスペースにおける黒人アーティストである事は、探求すべきアイデアと共有すべきストーリーが豊富にある事を意味します。また、アートスペースの中で黒人アーティストである事は、コミュニティや健康を優先させる事、調和していないと感じるものにはノーと言う事、その瞬間を生きる事、創作活動の合間に休息をとる事も意味し、それが作品に真の情報を与えてくれるのです。
アートスペースに存在するいくつかの課題には、「遅れをとってはいけない」「速いスピードで作品を開発しなければならない」というプレッシャーがあります。それは、長期的に見ると健全でも持続可能でもありません。世界は待ってくれるし、待つべきなのです。特に彼らがあなたをサポートするならば。

SO:黒人アーティストとして、長年にわたって描かれてきた黒人男性の誤ったイメージを正す事は、世界中の人々に対する義務であると感じています。これまで私が直面した唯一の課題は、黒人男性が見た目ほど「野蛮」ではない事を常に説明する必要がある、という問題です。

FS: 黒人のアーティストとしてこの世界にいる事は、本質的に有益なツールです。なぜなら、私の作品に適切な文脈を与えてくれるからです。私はこの世界で生き、経験してきました。課題としては、体制が整っていないガーナでアーティストとして活動する事、制度や政府のサポートがほとんどない事が挙げられます。Noldorのような機関ができる機会は限られていますが、現代アートが国際的なものと同じように、地元でも支持される時代が来る事を期待しています。

MB:最後に、この瞬間に携わっている事は、あなた方にとってどの様な意味を持つのでしょうか?

MI:この瞬間の一部である事は、私の様な人々にとって更なる機会を意味します。表現する事は障壁を取り除き、何が可能であるかという概念を広げます。私はいつもアーティストになりたいと思っていました。常に自分自身を選び、自分に喜びをもたらす物に一貫性を持ち続けてきた事を嬉しく思っています。

SO:今、この瞬間に立ち会える事に感謝しています。私の経験を他の人々と共有するプラットフォームを与えてくれるからです。

FS:今年のBlack History Monthで、私の作品が重要な役割を担う事を光栄に思います。この1ヵ月は、黒人の旅と苦悩、そして重要な素晴らしさを認識するための特別な期間です。これは、私の作品が強調しようとしているコンセプトであり、私は謙虚な気持ちであると同時に誇りに思っています。

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